東京高等裁判所 昭和53年(ラ)226号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
【判旨】
本件土地上に残存している建物一棟が朽廃しており、本件土地の空地部分が駐車場として利用されていることは記録上認められるところであるが、本件賃貸借契約は、右建物等を取り毀して新たに非堅固建物を建築所有する目的で締結されたものであり、右空地の駐車場としての利用も右建築に着手するまでの臨時の措置で、抗告人も右のような土地利用を了解していたものと推認されるので、本件土地の現況が右のようなものであつても、相手方が今後建物を建築して本件土地を利用するのを制約すべき事由とは解せられない。もつとも、相手方が本件賃貸借契約締結後一〇年も右建築に着手せず、約定にかかる賃借期間が約一四年しか残存していない現時点で、借地条件を非堅固建物所有の目的に変更することを要求したうえで建物新築工事に着手せんとするのは問題がないわけではない。しかしながら一件記録により認められる本件賃貸借契約締結時及びその後の経緯(原決定二の1項により認定の事実)、本土地の社会経済的な合理的利用等の事情を考慮すると、相手方より抗告人に対して対価として相当の金員を支払わせること及び賃料を相当額値上げさせることによつて当事者の衡平を十分に計つたうえ、本件賃貸借契約の目的を堅固建物の所有を目的とするものに変更するのが相当である。
(外山四郎 近藤浩武 鬼頭季郎)